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健康・子育て解決部屋
子育てQ&A

今月は、金沢星稜大学 人間科学部 こども学科 准教授の開仁志先生のコラムを掲載します。

 進級・進学するとがらっと生活が変わるように感じます。ですが、進級の場合、クラスのメンバーも一緒で担任も持ち上がりの場合もありますよね。その時はあまり代わり映え無く感じるかもしれません。一方、進学の場合は通う学校や生活が大きく変わることが普通かと思いますが、ほとんど同じ学校の出身者が多い場合もあるかもしれません。知っている人がたくさんいると、ほっと安心するかと思います。代わり映えしないということは、安心感をもたらすのでよいことのように見えます。
 ですが、進級・進学は、新たな環境に身を置き、周りの人との関係をつくりなおすチャンスでもあるのです。特に、今まで固定化された関係で、担任や友達ともあまりうまくいっていない時には、進級・進学を心機一転するきっかけにしたいという気持ちになるでしょう。
 最近は大学でも、そのような仲間づくり支援をするようになってきています。自分から誰とでも話せる積極的な人ばかりではありません。だからこそ、互いに話したりかかわったりするきっかけづくりを周りの大人が後押しする必要があるのです。本当に一人が好きな人でなければ、はじめの一歩さえ踏み出すことができれば、自然と打ち解けていくものです。
 さて、ここまでは、進級・進学してごく最初の頃のお話をしました。このコラムが載る6月は、新しい環境になってから2ヶ月ほどの時期になります。どんな時期かと言うと、最初は緊張もしており、互いに探りあいながらのかかわりだったのが、徐々に素が出てくるようになる時期です。素を出すようになると、当然ぶつかり合いも出てくるもの。ぶつかり合う中で関係をより深めていくわけです。ですが、このぶつかり合いがトラブルとしてとても目に付いてくる
があるのです。
 
保護者は、進級・進学に伴い担任が代わる時、「今度の先生はどんな先生かしら?」と興味津々で2ヶ月を過ごしてきたのです。すると、期待が大きければ大きいほど、期待と外れていた場合の失望感も大きくなっていくのです。進級・進学当初は、様子見でささいなことは我慢してきたとしても、そろそろ限界になってくる時期であり、突然爆発して、担任に不満(怒り)をぶつけることにつながります。担任にしてみれば、寝耳に水の状態です。そんなに不満があるのだったら、もっと早く教えてくれればよかったのにという気持ちがあるかもしれません。ですが、時すでに遅しです。4,5月がばたばたと忙しく過ぎ去り、一見落ち着いたように見えるクラスの中に潜在化していた問題が顕在化してくるのです。今までも問題はあったのに、なんとなく見過ごしてそのままにしてきたツケを払うことになるのです。
 こういった不幸なやりとりを防ぐためには、担任はクラス全体をまとめると同時に、見えにくい隠れた悩みを抱えている子どもを見逃さないようにする必要があります。ですが、担任も限界があります。全てのことを把握しきれるはずはありません。そこで、保護者のほうとしても、悩みをためるだけためてから出すのではなく、
小出しに気付いたことや気になることを担任に伝え、まずはざっくばらんに話せるような関係になっておくことが大切
になってきます。
 進級・進学当初、担任はクラスの運営方針、モットーを掲げて保護者に伝えることが多いと思います。これは、目指す方向を担任と保護者で共通理解するためには、とても大切なことです。ですが、これだけでは、保護者と担任の信頼関係は結ばれていきません。なぜかというと、保護者はクラスがよくなることはもちろんうれしいことですが、自分の子どもがよりよく成長することを第一に願っているからです。これは、親として自然な願いでしょう。だからこそ、少し行き過ぎたことも言うかもしれません。俗に言うモンスターペアレントに見える保護者も、愛情のなせる業。担任はその裏に隠された思いを受け止め、本当にその子にとってよい方法は何かを一緒に考えるような関係になりたいと思います。一方、保護者も、担任が代わって
「前の先生のほうがよかった」「先生のやり方は納得できない」などと、特に子どもの前であまり言わないようにすることが大切
です。なぜかというと、
保護者が言った内容のイメージが子どもに影響を与える
からです。担任、保護者互いに子どもがよりよく育ってほしいという願いは一緒です。担任も保護者も共に協力しあう仲間として関係がつくられればと願っています。

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