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健康・子育て解決部屋
子育てQ&A

今月は金沢星陵大学、人間科学部子ども学科 準教授の開仁志先生のコラムを掲載します。

皆さんのご家庭では、家庭学習にどう取り組まれておられるでしょうか。その名のとおり学校ではなく、家庭でする学習のことです。家庭学習と聞くと、一番に思いつくのは宿題ですね。この宿題に何を出すかは、決まりがあるわけではありません。ですから、先生の考え方次第のところがあります。すると、先生によって宿題の量の違いが生じます。多すぎると家庭で取り組まなくてはいけない時間が増えて大変ということになります。でも、少なすぎると子どもは喜びますが、親のほうは「こんなに少ない宿題の量で大丈夫かしら?」と不安になったりもします。

 いわゆる「ゆとり教育」を見直そうというときには、学校の授業時間数が少ない分、家庭での宿題の充実という考え方が示されました。また、最近では、全国学力テストの結果で連続1位になった県の家庭学習の方法を取り入れようとする動きもあるようです。全国学力テストの順位には、公立の学校のみの結果で、国立と私立のデータは入っていません。特別な学校や塾に行かなくても学力が高くなるためには、確かに家庭学習の充実は有効のようです。

日本は、国際的に見て、家庭学習の時間が短いという指摘があります。これは、日本では学校の授業で知識を得て家庭で定着を図るのが基本のスタイルなのに対し、外国では家庭で勉強したことを元に授業を演習形式で進めていくスタイルが取り入れられているという違いもあります。家庭で勉強しないと授業に参加してもついていけないのですから、必要感にせまられているわけです。

 でも、だから日本でも家庭学習(主に宿題)の時間を増やしさえすればよいのかというと、そう簡単にはいかないような気がします。確かに、すごく時間をかけて勉強している子どもと全く勉強しない子どもの差を埋めるための一つの手段となると思いますが、状況によっては量が増えてもついていけなくなる可能性があるような気がします。宿題をやってこられないという状態になったときに、やらない(やれない)状況を改善するためのサポートが必要となってくるでしょう。

 また、家庭学習の量ではなく、質の問題を考える必要がありそうです。とにかく机に向かう習慣をつける、毎日時間を決めて取り組む機会を設けるということで学年×10分の時間取り組むような指導もありますが、その中でどんなことをするのかが問題となるでしょう。家庭学習には、課題の内容が決まっているいわゆる「宿題」と、子どもが自分で何をするか考えて取り組む「自学自習」(自主勉強とも言う)があります。宿題だけで時間が過ぎる子どももいるでしょうし、どんどん発展的に進められる子どももいます。問題となってくるのが、この自学自習の部分です。ただ自分で勉強をしてきなさい(例えば毎日2頁)と言われても、何をすればよいのかわからない子どももいるようです。「何をすればいいの?」と子どもに聞かれて途方に暮れる親もいるのではないでしょうか。なにしろ自分が小さい頃(小学生頃)にはそんな家庭学習は求められていなかったのですから。あったとしても夏休みの自由研究くらいでしょうか。

 最近話題になったこととしては、宿題の代行サービスがあります。もちろん全てを代行するわけではなく、ヒント、見本であるということですが、とにかく課題を学校に提出することが目的になると、本末転倒のような気がします。先生に言われたから、宿題だからということでは、本来の学びの楽しさ、やりがいは見出せないでしょう。そもそも自学自習はなんのためにあるのか?という根本的な意味がそこには問われていないと思います。

 宿題は、クラスであれば、基本的に全員同じ課題が出されます。もう復習をしなくてもよく次のことを学びたい子も、実はもう少し前のところに戻ってやり直したほうがよい子まで一律に同じことをしなくてはいけません。自学自習では、自分なりに考えてふさわしい内容に取り組むことができるということであれば本来の意味としてよいかと思います。ですが、とにかく埋めればよい、提出用に整えて書けばよいとなれば、趣旨とずれてくるのではないでしょうか。自分にふさわしい内容の自学自習は何か、どのように進めればよいのかというやり方を教えていないのに、ただ課題を課すのでは、やれそうなことだけやってお茶を濁すことにもなりかねません。また、自学自習のための提出用ノートが指定されていれば、それにしばられてしまう可能性もあります。子どもたちは、家に帰ってから学校の課題だけこなしている存在ではありません。塾にスポーツ少年団、通信教材等々、ノートには書けないような様々なことに取り組んでいます。こうでなくてはだめという形式にとらわれた自学自習であれば、生涯学習の時代にはかえってそぐわないという結果になるかもしれません。一律に量だけを課すのではなく、子ども一人一人が自分に必要なことを考えて、計画を立てて取り組むことができるような家庭学習のあり方が求められていると思います。

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