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健康・子育て解決部屋
子どもの体・健康Q&A

今月は富山病院院長 嶋大二郎先生のコラムを掲載します

  この冬に向けての予防接種情報

 

 この10月から、水痘(水ぼうそう)ワクチンが定期接種化されました。

 ワクチンは前からあります。しかし、インフルエンザワクチンだけでも、子どもが二人なら相当の出費。その上さらに水痘も自費でとなれば大出血で、受ける人は多くありませんでした。

 水痘にかかると、数日は登園・登校ができません。それでも普通は問題なく治ります。しかし、白血病など免疫を抑える薬を使う病気の時に罹患すると、死の危機を招くほど重症化します。またこのウイルスは、水痘が治った後も一部が体の奥深く「神経節」という場所に潜んで生き残り、人間の体力が落ちたときに眠りから覚めて帯状疱疹という合併症を起こすこともあるやっかいな感染症です。

 そのワクチンが定期化(=無料化)されたことは子のいる家庭への朗報。接種で来院する人が増えています。生産力は急に上げられないので、一時的に品薄になるかもしれませんが、差し迫った流行状況にあるわけでもなく、焦る必要はありません。ただ、現在でも8割くらいの人、つまり予防接種無しならほぼ全員がかかる病気です。時間の余裕を見つけてぜひ受けておきましょう。

 行政が示すスケジュールや様々な制約は、例によってややこしいものですが、詳しくは市町村からの案内を一読ください。一回接種でも重症化を防げます。しかし、発病予防のためには二回接種が効果的で、定期化ではそのようにしています。以前に自費で一回受けた場合でも、もう一回、定期化を利用して受けるようにしましょう

 

 さて、インフルエンザワクチンの季節です。高い費用で接種したのに病気にかかるという不満は多く、実際、統計を見ても発病の予防効果という点では他のワクチンに比べれば旗色が悪いようです。ただ、その他の多くのワクチンが「個人防衛」だけでなく、皆が免疫を持つことで病気自体を減らせる(または撲滅できる)「社会的防衛」をも目指しているのに対して、インフルエンザワクチンは「個人防衛」が主眼です。

 本当は発病せず、流行も抑えられればいいのですが、今のところそこまではできず、り患率をある程度下げ、かかっても軽症化に役立つと捉えるべきです。ここが大切です。

 インフルエンザでは、脳炎・脳症といった致命的合併症に襲われる危険性があり、ワクチンはその危険を減らすと考えられます。インフルエンザが流行ると、老若を問わず発熱直後から急患センターに押しかけ、大混乱です。半日以内にインフルエンザかどうかの診断はできないことが周知されているはずですが、慌てて受診するのは、タミフルなど「抗インフルエンザ薬」をいち早く使って欲しいという衝動に駆られてのことなのでしょう。

 確かに、このような薬はウイルスの爆発的増殖を抑え、高熱など諸症状を和らげます。ただ、ウイルスは殺せないので、登園・登校が早まるわけではなく、一方で、脳炎・脳症など危険な合併症を防ぐ効果は期待されていません。合併症を避けるなら、ワクチン接種に期待すべきだという考えです。

 

 いつ接種を受ければよいのか。難しいところです。

 ワクチンの効果は接種二週間ほどで現れ、3ヶ月ほど続くとされます。昨秋は10月末から流行が始まりましたが、今年は1110日現在でインフルエンザに関するニュースを聞きませんね。年明けから増えて3月にピークを迎えた年もあり、そうなると11月の接種では最盛期に効果が消えていることになります。

 基礎疾患があって感染症には特に注意の必要な患者さんはなるべく早く受けるべきですが、へいぜい健康な人、つまりほとんどの子どもは11月下旬から12月前半で良いようにも思えます。ただ、国内での流行を耳にしたら早めに受けるべきでしょう。

 

 なお、水痘ワクチン定期化とインフルエンザワクチンの始まりが重なりました。二つとも受ける場合、次のワクチンまでは、インフルエンザが先なら二週間、水痘が先なら四週間は空けるのが効果的な接種法です。

 

 最後にちょっと宣伝です。

 富山病院では、この10月から「予防接種外来」を開設しました。

 定期やインフルエンザなど、順当に接種の話が進んでいる場合はこれまで通り小児科一般外来診療の中で行います。一方、予防接種外来は、「定期から逸脱した」「ワクチンへの不安」「基礎疾患の治療中」「海外に行く」など、変則的な事情がある場合の相談を受け、必要な予防接種も行うことを目的としています。

 毎週月曜の午後1時から3時までの受付で、なるべく予約していただく方が診療を円滑に進められると思います。

 担当は血液・感染症を専門領域とする小児科医ですが、対象は小児・成人を問いません。また、英語での対応も可能です。悩んだときはお気軽にご利用下さい。

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