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健康・子育て解決部屋
子どもの体・健康Q&A

今月は国立病院機構富山病院 金兼千春先生のコラムを掲載します

子どもの花粉症

 

 花粉症といえば、日本人の国民病と言われるスギ花粉症が有名です。34月にかけて、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどくなり、目の痒みや咳、皮膚の発疹が出る人もいます。北陸地方では、関東にやや遅れて始まり、3月下旬から4月上旬に最も症状がひどくなります。今年は、スギ花粉が早くから、たくさん飛散したため、早くから症状がでる方が多かったようです。5月まで症状が引きずる方は、ひのきの花粉症の合併が考えられます。逆に、5月のゴールデンウイークあたりから症状がひどくなり、6~7月まで引きずる方は、イネ科雑草(カモガヤ・ハルガヤ)の花粉症、秋に入ると、ヨモギ、ブタクサの花粉症が多くみられます。

 花粉症というのは、特定の花粉が原因となって、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー疾患の症状がでるものを指します。アレルギーの方が増えている昨今では、子どもの花粉症も珍しくなくなりました。子どもの場合は、花粉症だけではなく、ダニ・ほこりに反応する通年性アレルギー性鼻炎と両方ある患者さんが多いように思います。この場合、花粉のシーズンに症状はひどくなりますが、他の時期にも症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返します。

 シーズン初めには、日中のみの症状であることが多いのですが、花粉のシーズンが長引いてくると家の中やふとんにも花粉が入り込むため、屋内・夜間でも症状が続くようになります。

 診察では、鼻の粘膜の色や腫れを実際に観察すること、鼻水をとってきて、鼻水に好酸球と呼ばれる細胞がたくさんいることを確認すること、さらに、血液検査で花粉に対する抗体があることを確認します。ただし、血液検査が陽性だからといって花粉症とは限りません。血液検査のみ陽性で、花粉症を発症していない場合もあるからです。そのため、初めて発症した方の診断は難しいことがあります。

 花粉症の薬は、まず、鼻・目・皮膚・のど・肺など症状のでる部位によって薬を選びます。鼻水・くしゃみ・鼻つまりの鼻の症状に対しては、飲み薬点鼻薬があります。飲み薬は、大きく分けて鼻水・くしゃみに効く抗ヒスタミン薬というタイプと、粘膜の腫れをとって鼻閉を改善するタイプの薬に分けられます。点鼻薬は、今はステロイドの点鼻薬が主体ですが、鼻水・くしゃみを改善する抗ヒスタミン剤の点鼻や一時的に鼻閉症状を改善するために血管収縮剤という種類の点鼻を併用したりします。血管収縮剤の点鼻は、早く効いて効果が実感できるため、市販の点鼻薬に使われていることが多いようですが、小学校へ入る前のお子さんには使わないこと、他の治療とあわせて使うことが必要です。いろいろな薬の中から、症状や年齢、患者さんの好みに合わせて薬を選んだり、組み合わせて使うのが一般的です。

 最近は、眠気も少なく苦くもなくて子どもに使いやすい飲み薬もでています。効果の良い点鼻薬もあります。しかし、外来で、よく聞かれるのは、治療がいらなくなる方法、つまり、完全に治す方法はないか、ということです。漢方薬は、体質改善薬と考えて使われることが多いのですが、症状を抑える薬はあっても、花粉症の体質を完全に変えることのできる漢方薬は知られていません。

 体質を変えることを目的とした治療としては、免疫療法があります。アレルギーの原因となる蛋白質を毎日少しずつ身体の中に投与することで、アレルギー反応を弱めて治そうという試みです。しかし、以前からある方法では注射が必要でしたので、痛みを伴い、開始直後は頻回の通院が必要でした。また、副作用として強いアレルギー反応が起こる危険性もありました。そこで、最近、スギ花粉症を対象に舌下免疫療法という方法が12歳以上の患者さんを対象に始まりました。これは、スギのアレルギーの原因となる蛋白質を薬にしたものを、舌の下に入れることで、注射のかわりにしようというものです。痛みがなく簡単で、かつ副作用が少ないという特徴があります。実は、欧米では、ずいぶん前から行われており、さまざまな花粉症、ダニアレルギーに対しても治療がされています。画期的な治療ではありますが、少なくとも2年間、毎日、薬を舌下すること、1カ月に1回は受診することが必要です。また、副作用は注射に比べれば少ないのですが、口の中が腫れることや、稀にはショック症状を起こすこともあります。また、全員が、まったく他の薬がいらなくなるわけではありません。この治療法の良いところとそうでないところを十分に説明を受けてから始める必要があります

 たかが花粉症と思われるかもしれませんが、学校・幼稚園は、つねに窓をあけていたり、戸外活動をしたりするため、花粉症の子どもたちは、大人の患者さんより大変だったりします。今は、良い治療ができる時代です。お近くの医療機関で、よく相談して、より良い治療を選びましょう。

 

 

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